零崎一賊の最愛家賊
□12.鴉の濡れ羽島
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赤神イリアとそのメイドに挨拶を済ませた後、三人は屋敷の裏に回った。
屋敷の裏の山林。
そこに、紹介されていない『家賊』がいるという。
「あの子は私と同じで、イリアちゃんに気に入られてここにいるんだよ。」
「で、その繋がりで春日井さんとも仲良くなったんですよね♪」
「そういうこと☆」
「ふうん・・・。」
林の中を進みながら、花月は相槌を打つ。
さっきまで眠っていた赤屍の片方の頬には、うっすら赤い跡がついていた。
「んで、兄さん。その家賊の名前はなんていうの?」
「化織(ばけおり)さんですよ。零崎化織。」
「化織・・・・。女の子か・・・・・。」
「着いたよ。」
少し開けた場所に、彼女はいた。
どこかの民族衣装のような服。
漆塗りのような漆黒の髪。
双方の瞳は金色に輝いている。
そして、その少女から放たれる、家賊の気配。
花月は、その少女が『零崎化織』だと、すぐわかったのであった。
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