零崎一賊の最愛家賊
□8.大親友
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出夢の起こした大騒動から数週間、一人になるタイミングがなかったため、零崎として花月は家賊に会えなかった。
そして、久々に花月は赤屍宅を訪れた。
出迎えてくれたのは舞織だった。
「絃識く〜んっ!久しぶりです!」
「舞織ちゃん久しぶり〜。」
「ささっ、早くあがってください♪」
舞織に手を引かれ、花月は廊下を歩いて行った。
そしてリビングの扉を開ける。
「兄さん久しぶり〜。」
と、花月が部屋に入ると、客人が一人いた。
鬼里人、蝉族の長で七頭目の一人―――――奏蝉丸である(ほらソコ、「誰だ?」とか言わない)。
赤屍の古くからの知り合いで、彼を一度は気絶させたことのあるほどの実力の持ち主。
何故か人識とテレビゲーム(マリカー)の真っ最中である。
赤屍は蝉丸に後ろから絞め殺す勢いで抱きついている。
時々、腕で蝉丸の首を絞めようとするが、肘で止められていた。
「えーっと・・・・・・・どういう状況?」
「あ、久しぶりですね絃識君。」
「ねえ、どういう状況?」
「あぁ。蝉丸の前では家賊でいても大丈夫ですよ。」
「あ、そうなの?・・・・って、え、どういうこと?」
花月が首をかしげていると、人識がwiiリモコンを投げだした。
「うがーっ。やっぱ軍曹つえーな!」
「私に勝つのは百年早いでやんす。」
どうやらゲームは終わったらしい。
そして、蝉丸はようやく花月の存在に気づいた。
「新しい家賊の絃識君ですよ〜。」
「ん?そうなのか?・・・・っていうかいい加減邪魔でやんす。」
「ヤダ。」
「ヤダじゃねぇ。」
「うぎぃ〜〜〜っ。」
蝉丸が赤屍の頭を押したが、彼は離れなかった。
その横に花月は座る。
「え〜っと・・・蝉丸さんは裏世界をご存知と言うことですか?」
「いや、知ってるって言うより・・・・そうだな、それ。」
「?」
蝉丸が指差した先、テーブルの下に大きな箱。
花月は、蝉丸に言われた通り引っ張り出した。
そして蓋を開ける。
そこには、漆黒の鎌が入っていた。
「今日はそれを取りに来たでやんす。」
「前のは木端微塵になってしまったんですよね。」
「テメーがやったんだろーが!」
「うにゃあ。」
「可愛けりゃ許されると思うな。」《ガスッ》
「うにゃ゙っ!」
蝉丸の肘鉄をもろに喰らい、赤屍は呻いた。
「え〜っと・・・要するに貴方は『石凪』ということですか?」
「石凪蝉丸でやんす。」
意外な人間が裏世界に属していた。
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