零崎一賊の最愛家賊

□1.家賊
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あの後、花月は手に付いた血を近くの水道で洗い流し、伊織と一緒に裏道を中心に歩いていた。
手の血は洗ったものの、服にも血がべっとりと付いていたので、できるだけ人に見られない道を選んだのだ。
その間に、花月は伊織から零崎一賊の話や、裏世界の話を聞いていた。


「・・・・と、私が知っているのはこのくらいです。この世界に入って間もないんで。」

「そうなんだ・・・。でも十分わかったよ。僕は殺人鬼になってしまったという事か。」


そう言って花月は考える。
この事を風雅のメンバー等に言うべきだろうか。
隠したとしても、いつあのような殺人衝動に見舞われるかわからないし、我慢できずに皆がいる前で殺人鬼の自分を出してしまうかもしれない。


「ところで、僕たちは何処に向かっているんだい?だいぶ歩いたと思うんだけど。」

「私が人識くんと砥石くんと一緒に居候しているところです!」


人識と砥石とは、伊織と同じ零崎の人間だと聞いた。
それに、砥石の零崎名は零崎問識(といしき)という名前で、元々は殺し名序列七位の『石凪』の人間だと言う。
居候先の主も零崎で、一賊では伊織達の兄にあたるそうだ。


「家賊が増えて、私大喜びですっ。」

「う、うん・・・。で、その居候先の人の名前はなんていうの?」

「零崎銀識(がねしき)さんですっ!ちゃんと働いている人なので、やっと私達はちゃんとした食事ができるようになったんですよ〜。」

「へぇ・・・。」

「いままでは殆ど賞味期限の過ぎたコンビニ弁当でしたからね・・・。」

「えぇっ!!?」


それでよく腹を壊さなかった物だと、驚くと同時に感心してしまう。


「それにしても、花月くんは綺麗な人ですね〜。最初は女の人だと思っちゃいました。」

「よく言われるよ。」


肩をすくめて、花月は笑った。



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