小説
□甘い香
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最近…たまにだけど、お前は甘い匂いを体に付けて帰ってくる。
ガムとか飴とかの類じゃなくて…多分、女物の香水なんじゃねーのかな?
ほとんど消えてるけど、オレ結構鼻が利くんだよ。
…だから何だって言われれば、まぁそうだけどさ。
ヤガミだって、彼女の一人や二人、居るだろうし、女の子と遊んだりもするだろうし。
でもな?その匂いがすると、少しだけ…ホントに少しだけ、淋しくなる。
淋しいのとは違うかな?
何つーか、お前にはお前の生活があんだな〜って…そんな感じな。
同じ部屋に住んでても…いや、オレが居候してるからなんだけど…お前の生活の一握りくらいしか、オレは知らないんだな〜って。
それが少し、淋しいのかもしんないな。
なのに、聞けないんだ。
―ドコ行ってたんだ?―
って。いつもなら聞いてんのに、その匂いがする時だけは、何か聞きづらい。
自分でも、よく分かんねぇけど……。詮索すんの悪ィかなって思っちまうんだ。
でもお前はきっと、聞かなきゃ言わないだろうな…
聞いても言わねぇかもしんないけど。