戦国絵巻物語

□鏡花水月  第二話「流星の道しるべ」
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夜明け頃、花月と三兄弟と、供を連れ、加賀の国を出発した。
追われるようにして、この国から出ていく身。
きっともう二度と、この地に戻る事はないだろう...。
時は天文22年(1553年)花月16歳の春であった。

供の者達は、昔から共に遊んだ幼なじみでもあり、下忍の子供達でもある。
下忍とは、花月の養父であり、三兄弟の父九元は、忍び八曜陣の頭(上忍)で、その部下達の事だ。

供の者は、草司(そうし)、隼人(はやと)、武(たける)、久馬(きゅうま)と、久馬の双子の妹 珊瑚(さんご)と琥珀(こはく)。
皆忍びの心得のある、武芸に長けた者達ばかりだ...。


まだ深く暗い紫色の広がる空に、星が瞬いている夜明け前の空の下、馬を走らせながら、海月が言った。
「我ら、富樫家のご家紋のようだな。」

「え?」
花月が不思議な顔をして海月を見た。

「わかった! 富樫家のご紋は、天帝(北極星)と北斗七星への信仰(妙見信仰)から八曜紋で、中心に天帝(北極星)の黒丸一つ、それが花月様で、天帝の周りには、北斗七星の黒丸が七つ、これが我ら男ども七人です。」
隼人が得意げな顔をして言った。

「それでは、私達は?」
珊瑚は不満そうにすねた顔。

「おまえ達はまだまだ半人前だから、入っとらん。」
意地悪い顔でからかう久馬。

「兄上っ。」
琥珀が膨れっ面。

皆で大笑いしながら、越中に向けて馬を走らせた。
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