novel original

□出逢い
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「父上、納得できません!!」
ドンっと荒々しくテーブルを叩く音が響く。食卓が一瞬にして戦場と化した。
「…お前が納得できるかどうかは関係ない。もう決まったことなのだ、雪花。」
冷たく有無を言わさぬ父上の声が、もうどうにもならないことなのだと実感させた。

「…父上は止めてくださらなかったのですね…」
行き場を失った拳から力が抜けた。
表情が全く変わらない父上、俯き押し黙ったままの母上…もう何も言えなかった。
「わかりました。上野家の益々の繁栄のため、雪花は神木家へ嫁(ゆ)きます。」
それだけ、漸く絞り出すことができた。
「婚礼の儀は明後日だ。心身ともに清めておきなさい。」
全く表情を変えずに言うその様子に、底知れぬ絶望感に襲われた。
バタンっ返事を返さぬまま、私は家を飛び出した。
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