聖なる騎士
□食事当番(全15ページ)
1ページ/15ページ
それぞれ雑談を交しながら行軍した。
天気も良くて、穏やかだ。
「シーナ殿。まだ話したことがないな」
「そうだな」
エルフのドーズンが話しかけるが、シーナは興味なさげに歩き出した。
「な…何だアイツ…」
ドーズンは少し頭にきた。
サニアが苦笑してドーズンの袖を引いた。
「気にしないで。ちょっとシーナ、今これからのことで頭が一杯なの」
「そ…そうですか…」
「ええ…。やっぱり最後のことを考えると苦しくて負けそうなんだけど…私達、出来ることをやろうと思ってるの」
「なるほど…。俺、全力であなた方を守りますから」
「ありがとう」
その時。
「あーーーーーーッ!!!!!」
いきなりフィルが叫び声を上げた。
「ふ…フィリップ!あまり大きな声を出さないで!一応隠れて進んでいるんですから!」
スレヴィナが唇に人差し指を立てて叱る。
全員が驚いて立ち止まってしまった。
「どうした?!!」
ヨズフが慌てて肩に手を置く。
「じ…実は…」
フィルはヨズフに何やら耳打ちする。
次第に…ヨズフの眉間に皺が寄っていく。
「剣を忘れた?!!!!!」
これには全員が蒼白になる。
しかし…。
「…ん?ちゃんと腰に下げているじゃないか」
クダールがフィルの腰を示したが…。
「い…いえ…。これは聖剣グランディオーソで…。普通の剣を…」
聖剣グランディオーソは腰に下げてあった。
「な〜んだ。だったら問題ないじゃないの。人騒がせな奴ね」
サニアの言葉に…スレヴィナが地団駄を踏む。
「駄目です!!使って良いのは冥界に住まう者に対してだけです!!」
「何故、使ってはならないんだ?」
シーナの質問にスレヴィナは冷や汗を流して無言になった。
言ってはならないのだろうと判断したシーナは…魔導書でフィルの頭を叩いた。
「いったぁあ…!」
「こいつの剣をどうするか…だな。このボケ」
「痛い痛い!何すんだよ!」
フィルはヨズフの背後に隠れる。
「ま…まあ…歩きながらでも。さっさと進まなければいけないんでしょ?」
傭兵フィーラがシーナを止めた。
もはや引き返せない。
この事態、どうなるのか…?