聖なる騎士

□十天魔軍(全4ページ)
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そいつは…ボキリボキリと指を鳴らす。


『…神々が選んだ人間…か。我はジェラール様の腹心…シャズ』


「シャズ…貴様ぁあ!!!よくも皆を!!!」


駆け出しそうなフィルをシーナが慌てて肩を掴んで止めた。


「フィル…落ち着け。冷静にならなければ奴は倒せん…」


シーナの言う通りだろう。


シャズが放つ殺気は…とてつもないのだ。


フィルは舌打ちする。


「…いくわよ…」


サニアが聖弓フェアリーアローを引いた。


『させるか!!!』


シャズは翼を広げて飛びかかってきた。


フィルは聖剣グランディオーソを掲げ、飛びかかるシャズめがけて剣を振り下ろした。


『アマイ!!!』


「いやぁあ!!!」


フィルは渾身の力を込めて剣を振るった。


爪で頬を裂かれはしたが、剣はシャズをかすめたようだ。


サニアが隙を見て矢を放った。


シャズはフィルに攻撃を加えながら、軽々と避ける。


「お願い…言うことを聞いて!!」


サニアが放った矢に念じると、矢は方向を変えてシャズの背中に突き立つ。


『グァアッ!!!』


「魔導書に秘められし神の力よ。我の声を聴き、力を解き放て。聖なるクロスは汝の怒り…」


聖呪ホーリーエンブレムの魔導書を詠むシーナの足元に光の紋様が描かれた。


「ホーリーエンブレム!!!」


拳を空に突くと、無数の光の柱がシャズめがけて降り注いだ。


『ギャアッ!!!』


避けるシャズだが、無数の光の柱からは完全に逃れることは出来なかったようだ。


負傷した箇所から鮮血を流し…翼を羽ばたかせて浮遊した。


『我の使命は…ただ一つ!!!』


物凄い速さで降下した。


その先には…。


「…ッ!!!!」


フィルは蒼白になり、聖剣グランディオーソを投げつけた。


剣はシャズの翼をかすめ、真上へ旋回した。


『…チッ!!!案内役の天空人は必ず殺してやる!!!』


「…クッ…」


シャズの目の前には…スレヴィナが居た。


「スレヴィナ!!!」


サニアも弓を引くが、間に合わない。


スレヴィナは観念したように目を閉じた。


(…エロール…!)


足元に…ボトボトと何やら滴る。


だが、痛みはない。


スレヴィナは恐る恐る目を開けた。
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