精霊伝説

□主従関係(全13ページ)
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ついに、デイン王国があるレディウス地方に着いた。


この大陸は魔大陸と呼ばれ、魔物の強さが尋常ではなかった。


「俺も歳を取ったものだ…。こんな奴らに手こずるとは…」


「仕方ありません。近年、各地で魔物が凶暴化しているという話ですし」


「それにしても…この強さは…。ああ…手が痛い…」


しかし、ヘレンダだけは元気だった。


「ハアッ!!!」


次々と魔物を斬り倒していく。


イーグル・キラーの威力は最高だった。


「あの武器と体力には敵わない…」


「新しい武器も、珍しい武器の前では鉄の塊…ですか。サイクロン!!」


アーデの魔法も相変わらず、魔物を一撃で仕留めていた。


「そろそろ王城が見えて来る頃なんだが…」


ヘレンが地平線を見ていた時。


一匹のドラゴンが頭上を飛んで行った。


「あれ、何?!!」


ヘレンダが叫んだ。


「デイン王国の勢力の一つ…ドラゴン騎士団。懐かしいな」


「ヘレンは、どの部隊に所属していたんです?」


アーデが訊いた。


「さあて…昔のことは忘れたよ」


「辛いんですか?」


「いいや?ただ…昔を思い出すと、歳を取ったんだなぁ…って実感させられてね」


「あー、そうですか」


一行は半日歩いて、城塞都市に着いた。


高い塀に囲まれた、物々しい街…。


トール王国より、遥かに迫力があり規模が大きい。


「…ここが、デイン王国…」


「何だか怖いな…」


街行く男女は、剣士や傭兵のたぐいばかりのようだ。


市場は賑わっていたが、彼らは真剣な表情で品物を選んでいた。


「さて…。国王と謁見しよう」


ヘレンはスタスタと歩いて行く。


ヘレンダ達は気付いた。


ヘレンが行く度に、道を空けてくれていることに…。


「…白銀の騎士…」


「いや…死神の騎士だ…」


そんな声が聞こえた。


「…死神の騎士…?」


ヘレンダは驚いた。


「ふむ。この国にとって、ヘレンは恐れられているのかも知れないな…」


「何があったんだろうね」


アーデとレンディも戸惑っているようだ。


王城へは簡単に入ることが出来た。


一切の迷いなく進むヘレンの後を追って、玉座のある広い部屋に辿り着いた。
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