精霊伝説
□王位継承問題(全16ページ)
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翌朝、橋を渡って草原を歩いた。
「あ、あれがトール王国?」
「ああ。あんまり変わっていないようだなぁ…」
巨大な城が見えてきた。
城下町も大きく、活気に満ちていた。
「あたしは宿で休ませてもらうから」
「そうか?それじゃあ、行こうか」
レンディを宿に残し、ヘレンダ達は武器防具屋へ。
大きな建物で、一階が防具屋、二階が武器屋ということらしい。
「いらっしゃいませ!」
ヘレンダは武器の一つを見た。
「た…高い…」
「そうだな…。おい、妙に物価が高いな。何かあったのか?」
ヘレンが店員に訊いた。
「それが…今、我が国では王室で問題がありまして…。消費税が11%にまで上がっております」
「じ…11%?!」
「王室の問題…か。ザクラス国王はどうされたのだ?」
「昨年、急にお亡くなりになられて…噂では、王室の誰かが黒魔術師に頼んで殺害したと…」
「それなら、イース殿下か…いや、サウス殿下という線も…」
「お客様もそう思いますか?!実は、ここだけの話…」
店員が声を潜めたので、ヘレン達は興味津々に近付く。
「先代国王の子息のバロン殿下が、最近まで島流しになったと今、持ちきりなんですよーッ」
「先代国王に子供が居たのか?!かなりお年を召されていたと思うんだが…」
「はい。72歳の時に、メイドに産ませたと…。バロン殿下が王位継承権利第一位なのが気に入らないと、国政がめちゃめちゃでして」
「だから増税か…。頑張ってな」
「ありがとうございます」
ヘレンは「そういうことか」と溜め息をついた。
「ヘレンダ、アーデ。俺は城へ行こうと思う」
「あなたって人は…。トール王国とデイン王国は敵国同士なんですよ?元デイン王国の騎士であるあなたが無事で済むとは思えません」
「大丈夫だろう。タチの悪い先代国王は死んだんだ。そうだな…その、バロン殿下というのに掛け合えば、増税もなくなるだろう」
ヘレンは武器の数々を示す。
「だいたい…こんな値段で買えるか。ブロードソードが4万Gなんて、おかしいだろう」
「相場は…ああ、だいたい2万Gでしたか」
「違う。8000Gだ」
「計算が合わないね」
そうまでしなければならないのだろうと、一行は同情した…。