精霊伝説

□災いを招く者(全14ページ)
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朝になった。


旅立つヘレンダ達の見送りに来ていたタールナ達。


「ヘレン殿。これを…」


「絶対に世界を救ってや」


タールナとナディラは、ヘレンに精霊石を託した。


「すまないな。きっと、今度こそ奴を倒す」


ヘレンは精霊石を身に付けた。


「…アーデ様。本当に、ありがとうございました。お体にはお気を付けて…」


「あなたの方こそ。ナディラ共々、お幸せに」


セレフィアとアーデは微笑み合った。


「世話になったな。助けが必要なら、いつでも言って来てくれ」


「ヘレンダ、強くなりなよ」


ヘレンダはマークルとタールナと握手を交わす。


「あんたが一番、落ち着いた大人みたいやの。苦労するで」


「構やしないよ。姉には誠意を持って尽くす。それが弟ってモンだ」


「アーデは違うんか?」


「双子だからね。けど、ま…出来の悪い弟なのは確かだ。あんたはそうならないようにね」


「了解。ほな、気ぃ付けて」


見送られ、ヘレンダ達はユルフ王国を後にした。


アルタ村へ行く為に、バジリスクの森を北上する。


「ヘレンダが育った村か。さぞ良い所なんだろうね」


「そうですね。おやっ?」


アーデの肩にリスが飛び降りた。


「穏やかな森だな…」


「きっと、僕らがバジリスクを倒したからだね」


聞いて、ヘレン達は目を見開いた。


「驚いたな…。あの、バジリスクをかい?」


「スッゴく大きかったけど、一番びっくりしたのは、マークルさんのエルファイかな」


「あの青年…只ならぬ素質があるようですね。大魔導士になるかも知れない」


「アーデが言うんなら確かだろうね」


一行は、森の動物と戯れながら先を進む。


夜になり、野営をする。


「歳のせいかな。すぐに眠たくなってしまう」


「私が起きてますので、休んで下さい」


アーデが見張りに立って、ヘレンダ達は眠ったが…。


ヘレンダは空が明るみを差した頃、目が覚めて…。


焚き火の側に腰掛けるアーデを見て驚いた。


「…ずっと起きててくれたんですか?」


「ん?ああ…少し眠れなくてね。気にしないで休みなさいな」


ヘレンダはアーデの隣に腰掛け、焚き火を見つめる。
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