天馬の騎士
□守護聖獣(全7ページ)
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ザークとリシースが帰還してから、一週間が経った。
「クソッ!!!」
国王は玉座を蹴りつけた。
「参ったな…」
レルフも頭を掻いた。
古の武器について、レルフの婚約の儀式の時に毒を仕込ませた、サーファ国の司教が何か知っているだろうと、質問した。
その途端、地下牢に捕えていた司教と神官達が…全員、舌を噛み切って自害したのだ。
「してやられた…ってやつか。帝国が絡んでいたら…って思ったのに…」
「レルフ…」
国王は、レルフに金色の鍵を握らせた。
「これは?」
「古の武器を封印している部屋の鍵だ…」
レルフは目を見開く。
「私に、もしもの事があったなら…国を頼んだぞ」
「嫌だ…。だって…父上は、まだお若い…。まだ…」
「レルフ。お前は将来、国王となるのだ。決して、うろたえるな。民達が不安になる」
「…父上…」
「私とて、そう簡単に死ぬものか。長生きしてやるわ」
国王は笑った。
「今日は、謁見の予定もないし…私は休ませてもらう」
「あ…はい」
国王は私室へと向かう。
「国王。本日は、本当に穏やかですね」
私室の見張りをしていた兵士が微笑んだ。
「ああ。私は休ませてもらうよ」
「ゆっくりなさって下さいね」
国王は私室へ入り…重い法衣を脱いだ。
「すまないが、一人にしてくれないか」
国王は脱いだ法衣を受け取ったメイドに言った。
「かしこまりました。ご用があれば、お申し付け下さいませ」
メイドは深く頭を下げて、退室した。
国王は…首に下げていた青い宝玉の首飾りを外し、手に取る。
「…魔雷竜が…復活させられてしまう…」
青い宝玉を見つめる。
「…君は、私が嫌いだった…。君から…サーラを奪ったから。そうであろう…?」
国王は睫毛を伏せた。
「君も…サーラを愛していたのだろう…?今更ながら、後悔しているよ。君の方が、力がある…。私は…サーラを守れなかった。許してくれ…」
国王は青い宝玉を握る。
「…守護聖獣、マローラ…」
すると…宝玉が、かすかに光った。
「…マローラ…?」
宝玉は弱々しく光を放ち…暖かくなる。
国王の頭の中で、声がする…。