天馬の騎士
□お使い(全12ページ)
1ページ/12ページ
レルフとユルーマが婚約して、二週間が経った。
「トーナ!!!」
レルフは騎士団寮に駆け込んだ。
まだ、夜中の二時…。
トーナは、ぐっすりと眠っていた。
「トーナ!!起きろ!!」
トーナは、ファリラ小国最強の騎士ザークと同室なので…一人で眠っている。
レルフは構わずに、大声で叫んで揺さぶる。
「…ん…王子…?」
「トーナ…大変なんだよ…ああ…ともかく来てくれ!!」
トーナは目を覚まし、宝石だけを持ってレルフの後を追った。
会議室へ駆け込むと…寝間着姿の国王とイージル、兵士や騎士が二人ずつ腕を組んでいた。
「どうしたんだ…?」
「これを見てくれ!」
イージルが、書類をトーナに手渡した。
トーナは、それを読んで…目を見開いた。
「嘘だろ?!!どうすんだよ!!!」
「我々も困っているのだ…。何故、こんな事が…」
書類の内容は…。
先日、遠征に出た黒騎士団の鎧に関して…。
騎士達の鎧は特殊。
だが…わずかに弱点があった。
数々の鎧の中に「核」が存在していて、これを破壊されると…鎧は消えてなくなる。
「核」の場所は着ている本人にも分からないし、原料の一つ…精製されたミーティアのお陰で、並の武器では破壊出来ないのだ。
「核」を破壊された例は、いくつかあるが…それは、今の国王の父親の代。
まだまだ改良が進められていた時のみだ。
「遠征に出た黒騎士団の全員が核を破壊されただ?!!!あ…有り得ねぇ…」
「問題は…作り直す鎧の原料の量と金額だ…。頭が痛い…」
国王は頭痛を耐える。
黒騎士団…50騎の鎧を再び作り直す…。
原料のミーティアとオリハルコンを採掘しなければならない上…精製に使用する薬も、それなりに高価だ。
「オリハルコンなんか滅多に採掘されないし…。ミーティアは、他国から買い取れるが…」
レルフは蒼白になる。
何せ、物凄い量を買い物だ。
一気に国は傾くだろう…。
「黒騎士団を動かせないのは痛い…。トーナ。現在、稼働可能なのは何騎だ?」
「ええ?!別動隊40騎が今ネイザー国だから…30騎ッスね…」
「ああ…明日は、東の砦を攻略せねばならないのに…」
「白騎士団も…今、国を開ける訳にはいきません…」
イージルも頭痛を耐えた。