天馬の騎士
□合成金属ディアライト(全5ページ)
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ファリラ小国の騎士達の鎧は特殊…。
スコームとマリスが騎士として働き出してから、一週間が経ったある日。
「スコーム!聞いたぞ!砦の帝国兵を、一人で追い出したそうじゃないか!」
部屋で本を読んでいたスコームに、同室の先輩騎士が話し掛けた。
「皆さんの助力があったので、上手くいったんです。ありがとうございました」
「謙遜すんなよ。俺らも手柄立てないと、ヤバいなこりゃ」
先輩騎士は笑った。
「一週間で手柄を立てているスコームに、新しい任務を持って来たんだ」
「僕に…ですか?」
「本当は、俺の友達が受けるはずだったんだがな。昨日から任務に出ていて、まだ帰って来ないんだよ」
先輩騎士は、書状を手渡す。
「指令書だ。俺も、これから激戦区に行かなきゃならないんでな」
「激戦区…」
現在、西国ネイザーが帝国の騎士団と戦争中なのだ。
西国ネイザーは魔法を操る魔導士が中心の国家なので、ファリラ小国の騎士団に要請があった。
「あの…気をつけて下さい…」
「アッハッハ!心配してくれるのか?ありがとうな。お前も、そのうち俺達に背中を預けて戦う事になるからな。訓練を怠るなよ」
「は…はい!!」
先輩騎士は、スコームの肩を叩いて部屋を出た。
スコームは指令書を読む。
「…正午までに、レルフ様の元へ…。よし、頑張ろう」
先輩騎士達は、常に戦場で生死を戦っているのだ。
やる気満々でスコームは王宮へ向かう。
「レルフ様…何処に居るんだろう…」
ひたすら王宮を歩いていると、兵士に止められた。
「コラコラ。そっちは国王様の寝所だぞ」
「すみません…!あの…任務で、レルフ様を探しているのですが…」
スコームは指令書を見せた。
「ああ…王子なら、謁見の間で職務中だったな。もう終わっている頃だと思うぞ」
「ありがとうございます!」
スコームは謁見の間へ向かう。
複数の兵士相手に、国王が指示を飛ばしていた。
「見つけ次第、島流しにしてくれるわ!!」
「了解しました!」
無数の兵士達が散ると、国王は溜め息をついた。
国王の姿を見るのは、騎士叙勲以来だが…顔色が優れないようだった。