天馬の騎士

□フンガモンガ(全7ページ)
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フンガモンガの森…。


トーナはマリスを探す為に、茂みに身を隠していた。


巨大な鳥が「グルル」と唸り、地面を這う虫を食べている。

突いたクチバシによって、地面には穴が…。


「トーナ…マリスが戻って来た…」


フッ…とイージルが目の前に現れた。


「お前…!」


すると…巨大な鳥がいなないた。


「は…始まって…たの…か?」

「…ああ…つか、ヤッベェ…!」


振り向けないイージルを突き飛ばして、トーナは横へ跳んだ。

避けなければ、巨大な鳥のクチバシが直撃していただろう。


「じ…冗談じゃねぇぞ!!」

「いやああ!!!」


二人は逃げた。


「あああ…殺してやりたい!!!そっちの方が簡単だ!!!」

「馬鹿野郎!!!国外追放だぞ!!!」

「畜生ッ!!!フンガモンガ!!!」


イージルは木の上へ跳躍した。

だが…巨大な鳥達は、トーナを追いかける。


「何で?!!俺は男だ!!!オカマじゃねぇよ!!!」

「きっと、腹を空かせているんだ!!!トーナッ!!!早く木に登れ!!」


トーナは跳躍し、木の上へと立った。

巨大な鳥達は、大きく口を開けてギャアギャア鳴いている。

足を滑らせたりすれば、バクッ…だ。


「トーナ…すまない…。私のせいで…挑発させたんだ…」

「いや…入れ違いになったのを知らせに来てくれたんだ。ありがとな」

「…トーナ…」


相変わらずだな…と、イージルは思った。


そして…。

地上の一点を見つめる。


小さなヒヨコが、巨大な鳥の側で痙攣していた。


「あ…騒動に巻き込まれて…?でも…」


どうして、あのヒヨコ…フンガモンガだけ、巨大な鳥と化していないのか?

イージルは疑問に思ったが…放って置けば巨大な鳥に踏み潰されてしまうだろう。


おもむろに木々に実る果実をもぎ取り、地上へ投げた。

巨大な鳥達は果実を取り合う。

その隙に、イージルは飛び降りてヒヨコを拾った。


「イージルッ!!!」


ガァアン…と金属が鳴った。


「トーナ…!」

「クソッ…!」


イージルをかばったトーナは、いつの間にか鎧を身につけていた。


これは、称号の証…宝石の魔力のお陰…。


ファリラ小国の騎士の鎧は特殊なのだ。


なおも、トーナは小手で巨大な鳥のクチバシを防ぐ。


「イージル!逃げろ!!!」

「トーナは…」

「心配すんなッ!!!俺は騎闘士だぞ!!!」


騎闘士の鎧は、同じ地位の騎士の物と比べて露出が少ない。

イージルは頷いて、走って森の出口へと向かう。
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