月星の王者
□二章:魔の砂漠(全27ページ)
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レオスとラーザは、ドンキに乗って砂漠を東へと歩いていた。
「スゲー♪暑さが気にならねぇ」
「良かったね」
「けど…ドンキは平気かな…。蹄熱くねぇかな…」
「レオスは優しいね」
ドンキは特に気にはなっていないようで、スタスタと灼熱の砂漠を歩いている。
レオスとラーザ…更に、二人分の荷物を担いでも歩は緩まない。
「なあ…ラーザ」
「ん?」
「法皇が言ったルダー様って…あのルダーで合ってるんだよな?」
「だろうね」
「じゃあ…もうそろそろ出て来るんじゃねぇのか?レスマファーゼは、日増しに力を蓄えてるって言ってたし…」
「そういうことになるよね。いかんせん、情報が足りなさすぎる。どうしてそういうことになったのか、みっちりと調査しないとね」
ラーザもお手上げの様子で、少し溜め息をついていた。
半日経った時、辺りを見回していたレオスは砂漠の砂が一部、光っているのに気付いた。
「あれっ?」
ドンキの首を叩いて止まるよう指示を出す。
「どうかした?」
「何か落ちてる」
レオスはドンキから飛び降り、キラキラ光る砂場を調べた。
そこには、手の平よりも少し小さな砂で出来た薔薇があった。
そ…と両手ですくう。
その薔薇は見た目よりも硬く、水晶のようだ。
レオスはラーザに砂の薔薇を見せた。
「それは、デザートローズだね。気流と魔力の流れによって、薔薇の形になるんだ。砂漠にしか咲かない花なんだよ」
「花?これ、花なのか?」
「そうだよ。一度、摘み取ったら着色してドレスに縫い付けたり髪飾りにしたり出来るんだ」
「へぇ…。こんな水のない所に、花ねぇ…」
「デザートローズは自然を漂う魔力で成長するからね。水は必要ないんだ」
「デザートローズか…。一応、持っておくか」
レオスはデザートローズを荷物へと加え、再びドンキに股がった。
ドンキは相変わらず唇を捲り上げて、愛嬌たっぷりに歩く。