月星の王者
□一章:神器エナジーストーン(全23ページ)
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エレクート王国を出て、1日目の夜。
二人はオアシスにたどり着き、野営をすることに。
「やっと涼しくなってきた…」
「レオスは暑がりなんだな」
「…っつーか…お前、マジでおかしいんじゃねぇのか?!汗ひとつかいてないなんて!!」
レオスは軽装になるが、ラーザは丈の長い衣服を着たままだ。
少しも暑さを感じていないようだった。
「ああ。きっと、このローブのお陰だな」
「そういえば、変わった衣装だよな」
「これ、実は留学していた学園の制服なんだ」
「学園?何の」
「魔学さ。こんな風に…」
ラーザが手を掲げると、長杖が現れた。
「ファイヤー」
ボッ…と火がついた。
「一瞬で焚き火が!!!」
「これが僕の得意武器です♪」
「凄い凄い!!!俺、魔法なんて初めて見た!!!」
「アハハ、これでも特待生だったんだ。期待していてよ」
「良かったぁ。だって、とても剣なんて持てそうな腕じゃねぇし、心配だったんだ」
「そりゃ申し訳なかったね…」
「魔法があれば、魔物も簡単に倒せるな!!」
「それが…」
「そろそろ飯の支度しねぇとな。何がいいかな…」
ラーザが何かを言おうとしたが、レオスは気付かない。
(…まあ、いっか…)
ラーザは笑いながら食事の支度を手伝う。
食事を済ませ、レオスは立ち上がり、振り返る。
「…覗くんじゃねぇぞ?」
「分かってるよ。でも、何かあったら叫んでね」
「有り得ねぇ」
レオスは愛剣を携え、茂みに入る。
全裸になって湖で気ままに泳いだ。
ふと胸の痣を見る。
黒ずんでいたものが今は落ち着いたようで、色が薄くなっていた。
安心して、また泳いだ。
気が済んで野営地へ戻ると、本を読んでいたラーザが立ち上がった。
「その様子だと、何事もなかったみたいだね」
「ああ、静かなモンだ。この辺りには魔物なんていないんじゃねぇの?」
「油断はしない方がいいと思うけど…」
ラーザは苦笑しながら茂みへ入った。