聖なる騎士
□主力選定(全9ページ)
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深夜。
フィル達主力者は休む事もままならず、ずっと会議していた。
十天魔軍の強襲による被害状況と反省が、ようやく終わり…。
スレヴィナが挙手した。
「私から一つ提案があります」
「何かね?」
国王もさすがに疲れた様子だったが、やはり国王。
威厳を失わない。
「十天魔軍が、かなり強力な者なのはお分かりになられたと思います」
「ああ…。それで?」
「神々に選ばれし者と…後、護衛を選定し…少人数で向かうべきだと思います」
「そうだな…。このまま大軍を率いて連れても無駄に死なすだけだろう…」
国王は溜め息をつく。
その隣で魔導団長シドヌが挙手した。
「もう大軍は来ないのだろうか」
「…ええ…恐らく…。十天魔軍はプライドが高いと聞きます。ですから、こんなに簡単に現れないんです」
スレヴィナも参ったように一つ溜め息をつく。
「現れたということは、悪魔達の軍の補充がなくなったのでしょう。私はそう考えています」
しばらく沈黙していたが、国王はこめかみを押さえる。
「ジェイス、バース、クダール、シドヌ。各自護衛にふさわしい戦闘能力を持った者を選定し、ここへ連れて来るように」
「はい」
それぞれがテントを出る際に、フィル達三人も立ち上がる。
「シーナ。来い」
「はい…」
「サニア様は…」
「もちろん行くわ」
そして…フィルはジェイスを引き止める。
「騎士団長…少し…」
「うん?」
何やら囁き…。
ジェイスは頷く。
「フィル…」
「俺が言ったなんて、言わないで下さい…」
フィルの表情から疲れが見えた。
ジェイスはフィルの背中を叩く。
「分かった。少し横になるといい。後は任せて…」
「…すみません…」
フィルが体を横たえると、国王とスレヴィナは顔を見合わせた。
「スレヴィナ殿。皆を頼みます」
「はい」
かなりの時間が経ってから、シーナとサニアが戻って来た。
「ほぉら、フィル」
「…大丈夫か?」
フィルは起き上がって笑ってみせた。
テントの外が何やら騒がしい。
「集まったようだな」
国王は立ち上がる。