精霊伝説

□災いを招く者(全14ページ)
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アルタ村まで後丸一日という所で、魔物が現れた。


「…むっ。コイツ、強力だぞ!」


「あたしの攻撃が全く効いてないよ!」


「ヘレンダ、君が来る時もこんな奴らが居たのかい?」


アーデが訊いた。


「ううん。見たことない…」


「…嫌な予感がするな…。さっさと片付けて、先を急ごう」


「エルファイは山火事になるな…。ならば」


アーデが長杖を魔法で取り出し、振りかざした。


「シャイン!!」


光の槍が魔物を襲う。


「ウインドソード!」


ヘレンが風の剣を魔法で生み出し、魔物をなぎ払った。


「えいやッ!!」


ヘレンダが剣で斬りつけたが、トカゲのような魔物の鱗で弾かれてしまう。


「危ない!ダークネス!!」


闇の槍が魔物を一突きにした。


「ヘレンダ!走れ!」


言われ、ヘレンダはアルタ村へ向かって走り出した。


「雷(いかずち)の大蛇、邪悪なる者共を罰せよ」


アーデの杖に蛇が纏う。


「スネーク・サンダー!」


雷の大蛇は次々と魔物を飲み込んだ。


「さあ、行くぞ!」


ヘレンダを追って、三人は駆け出した。


目の前が熱く真っ赤になると、ヘレンダは絶句した。


見慣れたアルタ村は、炎に包まれていた。


「…ぅ…うぅ…」


「パギラ小父さん!!」


唸る男の元へ駆け寄る。


「…ああ…ヘレンダじゃないか…」


「一体、何があったの?!」


「…見ての通りさ…。いきなり魔物が襲って来て…。ヘレンダ、危険だから…逃げな…さい…」


男は目を閉じたまま、動かなくなった。


「…パギラ小父さん…?パギラ小父さん!!しっかりして!!」


「ヘレンダ!!?」


叫ばれ、ヘレンダは振り返る。


村長が棍棒を手に駆け寄って来た。


「小父さん!」


「村は、もう駄目だ!早く逃げろ!!」


ヘレンダは村長の顔を見て、ハッとなる。


「…カナは?カナはどこ?!!」


「散々に逃げたが、無事に逃げておるかも知れん!早く村を出るんだ!」


「…カナは、森には来ていない。まだ村の中に居るはずだ…」


「ヘレンダ!」


「小父さん達は逃げて!!僕はカナを捜す!!」


「待ちなさい!!ヘレンダ!!奥には強力な…!!」


ヘレンダは走り去った。
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