天馬の騎士

□婚約(全16ページ)
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婚約の儀式は持ち越しになった。


宗教国家サーファから、再び司教を呼ばなくてはならないからだ。


「司教の目的は、古の武器…」


「何だって、今更…。国王達が魔雷竜を封印したってのに…」


国王とトーナは、会議室で頭を抱えていた。


そこへ、レルフが駆け付けた。


「駄目だ…。あの司教と神官達…ガンとして口を割らないばかりか…」


「レルフ、どうかしたのか?」


「…神官が二人、舌を噛み切って…自害しました…」


レルフは国王の隣に腰掛け、溜め息をつく。


「ザークとリシースが不在の時に、このような事態になるとは…」


「二人の不在…知られたかも知れませんね…」


国王とレルフがそう言い合うと、トーナは頭を掻いた。


「俺らのせいだ…。ザークとリシースなら、もっと上手く立ち回れていた…」


「まだ、知られたとは決まっていない…。せめて、儀式は二人が戻って来た時にすれば良かったのか…?」


レルフはうつ向く。


「いや…あの二人を待っていては、相手方のお嬢さんが気変わりするかも知れんぞ」


「父上…何て事を…」


笑う国王に、レルフはまた溜め息をついた。


「けど…国王。二年も帰って来ないのは…」


「トーナ。確かにそうだな。お触れを出す訳にはいかんし…」


「いっそ、各国に二人が不在だと知られる覚悟で出してみませんか?」


「ふぅむ…参った…。どうすれば良いのだ?」


一同は悩んだ。


そして、トーナが立ち上がる。


「俺が、黒騎士団の数人を率いて探しに…」


「いや…トーナには居てもらわなければ、黒騎士団を統率する者がおらぬ」


「この広い世界から、人間を探すなんて無理だよ…。トーナ、二人が戻るまで任務を全うしてくれ」


「騎士団の数人で、捜索隊を派遣するのは…」


トーナは冷や汗を流しながら提案する。


「聞き込みでもされてみろ。それこそ終わりだよ」


「こんな小さな国…。大軍に攻められたら、ひとたまりもない。いつでも体制を万全にしておかなくては…」


国王は溜め息をついた。


トーナは諦めて、腰掛け…また悩んだ。
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