聖者と覇者

□決戦(全10ページ)
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ズザアァ…。


ギルドはデュランの背中から落ちて、弾き飛ばされてしまった。


「キリがない…」


ゼェゼェ肩を上下させたロアの隣に立ったディルスは、耳打ちした。


「しかし…それは…」

「俺なら平気だ。気にするな」


ロアは…頷き、武器を構えた。


〔…させるか!!!〕


銀竜が吐いた吹雪を、セリルが魔法で防いだ。


ギルドも立ち上がり、リオールと共に銀竜に攻撃を仕掛ける。


分かっていた。


ディルスが、何をするのかを…。


「この時の為に生きてきたようなものだ。これでようやく、ギルド様に恩返しが出来る」


「ディルス……!」


「古代文明を滅ぼしたオードスタンが編み出した究極の禁断の魔法……喰らうがいい!!!」


ディルスは腕を垂直に広げた。


「禁断の魔法を作ったのは……」

「ディルスの先祖だったのか…!」

「皆!!!やるぞ!!!」


全開放された潜在魔力がディルスの周囲に集まった。


「幾多の天(あま)を駆ける流星の導きに希望を委ねよ…」


〔させるかぁあッ!!!〕

「テメェの相手はこっちだ!!!よそ見してんじゃねーッ!!!」


リオールが太い尾をひたすら切りつけた。


「我は求める。かの願いにたゆたいし奇跡の欠片を。呼応する汝ら精霊の加護と天罰を」


ギルド達は、必死に銀竜の気を引いていた。


ディルスを守る。

いつもとは逆の立場に…ギルドは懸命に魔剣を振るった。


「時を超えた汝の力を我に」


銀竜が吐いた炎を、セリルがバリアを張って防いでくれた。


「虚空より出し破滅の使者」


銀竜が振り下ろした太い爪を、リオールが聖剣で弾き返す。


「我が身をもって、ここに示さん」


銀竜が太い尾を振り回す。

ギルドはリオールとセリルと三人がかりで受け止めた。


「解き放て!!!浄化の力!!!」


ドンッ…と地面に亀裂が走った。


ありったけの潜在魔力の全開放により、その場にいた全員の体が壁際に吹き飛んだ。




「エターナ!!!!」




〔ギャアアアアアアアア!!!!!!!!!!!!〕




大爆発と共に、銀竜の姿は消えた。


だが…。


地面には大穴が開いていた。


ディルスの姿はない。


「ディルス!!!」
「ディルス!!!」


ギルドとロアが浮遊魔法で大穴へと身を投げた。

彼はいた。

大穴の底で仰向けに倒れていた。


「ディルス…起きろよ」


ロアが治療魔法を施しても、傷は一向に塞がらなかった。


「……穴から落ちて……即死だったんだ……」

「そんな………」

「…ディルス……無茶ばっかりしやがって………」


ギルドは、その胸にすがりつき、泣いた。


すると…。


ギルドとロアの体は浮遊し、気付けば大穴の側に立っていた。
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