聖者と覇者

□決戦(全10ページ)
5ページ/10ページ

セリルは銀竜を見上げた。


「私が憎いなら…私は死をい問わない。私は、実の兄に殺されるのなら…本望です」


〔…バルラ。やはり我は…貴様を許せぬ〕


銀竜は物凄い速さで、バルラを掴んだ。


「グッ…」


「…貴様達!!!いい加減にしろ!!!」


ディルスが叫んだ。


途端に、その場にいた全員の体が吹き飛んだ。


ディルスが潜在魔力を開放したのだ。


「ディルス…?!」


「貴様達の親子喧嘩に、我々人間を巻き込まないでもらおうか!!!迷惑こうむる!!!貴様達が何処で何をしようが構わんが、我々人間にちょっかいを出す真似は辞めにしてくれ!!!」


〔貴様達人間は、バルラが創造した産物…。それを苦しめる事は、バルラへの復讐にも繋がる…〕


「グアァアア!!!」


掴まれたバルラの体が鈍い音をたてた。


銀竜は起き上がり…バルラを両手で締めつける。


「…ならば、貴様達には死んでもらおうか」


ディルスの…今までにないような形相に、ギルドは身震いした。


〔…人間風情が…〕


銀竜は、バルラを地面に叩きつけた。


バルラは全身の骨が砕け…身動きが取れない。


「…私は…間違っていた…のか…?」


「…バルラ。私は貴様がそんな考えをする神と知っていれば、育てはしなかった」


「…ディルス…そうか…お前が…転生した…私を…育て…たの…か」


バルラは意識を失った。


ディルスは…銀竜に歩み寄り、魔槍を構える。


〔全ては、バルラへの復讐の為…。死ね、人間!!!〕


「戦わなきゃならないのか…?」

「………」


各自は銀竜に向かって武器を構えた。


〔さあ…続けようか。バルラの産物共と、バルラを超えた我の力…どちらが優れているのかをな!!!!〕


銀竜は吹雪を吐いた。


それをかわし、ギルドとリオールは銀竜の背後へ回って太い尾を斬りつけた。


ロアとセリルは、魔法で銀竜の額に稲妻を降らせる。


ディルスは真っ正面から炎を放つ。


銀竜は羽ばたき、太い尾を振り回す。


「これ以上、犠牲を出させない為に!!!」

「お前を倒す!!!」


ロアとリオールの剣が銀竜の鱗を砕いた。


「ギャアアッ!!!」


銀竜はのけぞる…が。

目を見開いた瞬間、無数の闇色の槍が降り出した。


「マジックシールド!!!」
「エンシェンドバリア!!!」


ロアとディルスが張ったバリアのお陰で、闇色の槍はかき消えた。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ