聖者と覇者
□決戦（全10ﾍﾟｰｼﾞ）
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銀竜は倒れた。
だが…再び立ち上がり、バルラの太い尾を掴んだ。
バルラを振り回し、ギルドとディルスをなぎ倒す。
「はっ！！！」
ロアが魔剣と聖剣の双剣で、銀竜の首を斬った。
〔フンッ！！〕
銀竜は首を振り、角でロアの体を吹き飛ばす。
「…神よ、慈悲を…」
セリルが杖を掲げると全員の傷が癒えた。
〔こしゃくな…！！〕
銀竜はセリルに向かって炎を吐いた。
「！」
「セリルッ！！！」
だが。
セリルの胸にあるペンダントが光り、炎を拡散させた。
「マジックシールドだわ……。ああ…ロア様………」
しかし、全員が大量の汗を流し、息を荒げた。
「…ゼェ…ゼェ…」
「強い…強過ぎる…。何なんだ…」
ディルスは片膝ついてしまう。
〔当たり前だ。我はバルラを超えたのだからな〕
「…一体…貴様は、何者なんだ…？」
血を滴らせながら、バルラが訊いた。
〔良いだろう…教えてやろうか。我は、貴様の後継者として貴様に造られた、セリルの双子の兄だ〕
「何だと？！！！」
全員が驚いた。
〔よく聴け、人間共。貴様達、人間を造り出したバルラが…我が子供にした仕打ちをな！！！〕
銀竜はバルラを睨みつけた。
〔貴様は、己の寿命を悟り…後継者を生み落とす必要があった。それは良い。貴様は、後継者を生んだのだ…〕
「………」
〔それも、二つ…だ。他ならぬ一つは我…一つはセリル〕
セリルはショックを受けて、息を飲んだ。
〔バルラは…生まれて間もない我を…我に………手をかけた〕
バルラは、言葉を発しない。
〔命かながら、我は生き耐えた。バルラに復讐を遂げる為…バルラに大切に育てられた聖女を不幸に陥れ…我と同じ恐怖と苦痛を味わわせる為に…〕
ディルスがバルラを横目で睨みつけた。
「バルラ…どういう事なんだ。あいつの話が本当なら…全ての発端は、貴様にあるんじゃないか…」
ディルスは槍を拾ってバルラに矛先を向ける。
「我々、人間を馬鹿にしているのか…？」
バルラは銀竜を睨む。
「…そうか…。貴様は…あの時の…」
〔………〕
「…ならば、息の根が止まったのを確かめるべきだったな…」
その恐ろしい言動に、ギルドは怒りの表情を向けた。
実の子供に対して言う事ではない…。
バルラは平然と、銀竜を見上げる。