聖者と覇者
□決戦(全10ページ)
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地下五階。
奥へ進んだ大広間には…繭が張られていた。
バルラが炎の息で焼き払い、一行は奥へ進んだ。
「…瘴気は、ここから放たれています」
セリルは地面を踏んで、杖を構えた。
同時に全員が、戦闘体制に入る。
〔…フハハハハ…。我が神となる御前に現れるとは…運のない事だな…〕
ヒュウヒュウと息を吐いて、赤い血を流すそいつは首を伸ばす。
二本の角…大きな翼。
以前と違うのは、全身が銀色の巨大な竜となり果てていること。
バルラがその姿を見て…目を見開く。
「その姿は…私と同じ…いや…有り得ない…。竜は、世界で私一人のみ存在を許されるもの…」
〔やはり愚かよの…バルラ。貴様自身の罪を忘れているとは…〕
銀竜は、翼を広げた。
〔来るが良い!!!愚かなる神により造られし人間共!!!我の邪魔をした報い、その身に受けて後悔するが良いわ!!!〕
ゴウッ…と風が唸り、全員が吹き飛んだ。
「なッ…強い!!」
「畜生…!!!」
ギルドとリオールが、騎馬の腹を蹴って銀竜へ向かった。
「喰らえッ!!」
双子の剣の攻撃が、銀竜の足を斬り裂いた。
〔甘いわッ!!!〕
銀竜は双子を、太い尾でなぎ倒す。
ディルスやロア、セリルもありったけの魔法を銀竜めがけて放ったが…。
銀竜は平然としている。
「…これならどうだ!!!」
ディルスが魔槍を投げつけた。
ガァンッ!
それは、銀色の体を弾いて地面に落ちた。
バルラが炎の息を吐いて応戦するが、銀竜の吐いた吹雪に相殺されてしまう。
〔…フハハハハハハ!!!!そんな攻撃で我が倒せると思うか!!!〕
銀竜は、口から光の矢を吐き乱した。
「うわああああ!!!」
「グアアアッ!!!」
無数の矢はロアとディルスの体を貫いた。
「せいやぁ!!!」
「うらあッ!!!」
ギルドとリオールは、なおも剣で斬りつけた。
〔うっとおしい蛆虫があ!!!!〕
銀竜は太い尾で双子をなぎ払い、その体を足で踏みつけた。
「ギャアアアアッ!!!!」
「リオール!!!」
すんでの所でかわしたギルドだが、リオールがまともに踏み潰されてしまった。
「死ぬかぁ!!!」
リオールは剣を、銀竜の足の裏に突き刺したまま立ち上がる。
銀竜は翼を羽ばたかせ、宙を飛んだ。
そして…吹雪を吐く。
バルラが炎の息で相殺させて、銀竜めがけて体当たりした。