聖者と覇者

□魔剣ディバイン(全4ページ)
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ギルド達が旅立とうと荷造りを終えたその日、悲しい出来事があった。


村の、老人の一人がお亡くなりになられたのだ。


「魔の瘴気とやらが原因ではない…」

「老衰じゃ…」


おいおい一人泣く老人を、他の老人が慰めてやる。


集会所で葬式が行われている間、ギルド達は黙祷し…新たな誓いを立てていた。


「これだけ猶予があったんだ。今後こそ、負ける訳にはいかない」


ギルドは一度、敗北を味わっているが故に。

人一倍、剣を持つ手に力が入る。


「一つ気になる事が…。本当に、この幻の玩具で…魔を倒せるんでしょうか?」


ロアが右手に魔剣ソウルイータを持ち、左手に聖剣ロストセラフィを構えてみせた。


「倒せると信じましょう。賢者と呼ばれた方が、文明を滅ぼす為に作ったと言われる強力な武器なのですから」


セリルは、聖杖リュアラを握りしめた。


「………」


リオールは頷き、聖剣エクスカリバーを振りかざす。


「やれやれ…。少々、本気を出させてもらいましょうかね」


ディルスは魔槍グングニルをヒュンヒュン回し、構えた。


「俺には、幻の玩具はないけど…魔法がある。それに、いざという時には禁呪の死滅の芳光もある」


ギルドは愛剣を右手に持ち、左手で炎を生んだ。


「ギャフッ!!」


久しぶりに姿を現したバルラが、パタパタと空を旋回している。


「今日は各自、自由行動にしよう。体調を整え、明朝出発する」


ギルドの提案で、それぞれが村の老人達と別れを惜しんだ。


ギルドやリオール、セリルを孫のようだと可愛がってくれた。

ディルスやロアは息子のようだと、色々と教えてくれた。


そんな老人達は、応援してくれた。

そして、無事に帰って来るようにと念を押された。




その夜、村人達の計らいでちょっとしたパーティーが行われた。


賑やかな広場から離れた宿屋の一室にて。

寝台に腰掛けたギルドは一人、考え事をしていた。


「ギルド様?」


ミラナが顔を覗いてきた。


ギルドは心底、驚いた。


「ノックしたんですけど…気付かないほど何を考えていらっしゃるんですか?」

「ちょっとね…」


ギルドがまた何やら考え込むと、ミラナは彼の隣に腰掛けた。
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