少年百科
□平凡少年
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彼はどこにでもいる少年だった。
根っからの平凡な少年だった。
特別なところは、なに1つ一切ない。
目立つところさえない。
顔も普通だし、スタイルも、性格も、その辺を歩けばすぐに似たような少年をみつけることができる。そんな冴えない少年だった。
少年はそんな自分が嫌いだった。
ー僕は平凡なんかじゃない。
少年はいつもそう思っていた。
自分を平凡と知りながら、平凡なただの少年と自覚しながら、
自分は平凡な少年ではない、特別な選ばれた人間なんだと、ずっと密かに心で思っていた。
でも、少年は平凡だ。
たとえ、少年が、どんなに自分は特別だと思ったとしても、少年は平凡な、特徴のない少年だった。
でも、少年は信じていた。
願っていた、祈っていた。
自分は特別な人間なんだと、
誰よりも、人類にとって必要な人間なんだと…。
この世に、特別な人間なんていやしない。
特別な少年なんているはずがない。
でも、少年は、そんなことには気づかない。
だから、今日も願い、信じ、祈り続ける。
「神様、僕をどうか、特別な少年にしてください、」と。