小説

□我こそは塵兵衛!!+村+
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「んで・・これは何の着ぐるみ?」
「無礼な事を言うな」
「全くじゃ」
「この村、絶対におかしいやろ?何で、みんな着ぐるみなわけ?」
「訳が解らん事を言うな」
「全くじゃ」
そんな会話をだたっ広い客間でやっている。
敷き詰められたキレイな畳、大きめのちゃぶ台、ちゃぶ台の上には観葉植物
壁にはでかい龍虎絵図、仏壇に、高そうな骨董品の数々。
さすがだねぇ〜・・・一体、どんなお偉方だか
まぁ〜・・まずは自己紹介といくか・・・
「まぁ〜・・・とりあえず自己紹介、オレは黒澤 博、17歳で海邦高校に通っている柔道部、普通の高校二年です。」
適当に名乗り出る
「ほほぉ〜♪柔道をやっておるか!!」
向かいに座っている変な着ぐるみを着た、じーちゃん言葉で話す人がご機嫌そうに言う。
どんな着ぐるみを着ているかというと・・・
・・・説明しずらい・・・全身鳶色の毛に覆われていて、太い眉毛、立派なツヤのある髭、背中に生える鷹のような大きな翼・・・何かの鳥のマスコット?それとも・・・・・龍?
なんの生き物をモチーフにした着ぐるみなんだろ?
にしても・・・・ゴツイ着ぐるみ・・・
厚い胸板に、着物がピチピチになるくらい腕が太い
あとは藍色の着物で隠れて見えないが
きっと中はスゲェーだろうなぁ〜・・・あんま思い出したくないけど
よく出来た着ぐるみだ・・・肉体の構造まで事細かくリアルに忠実に再現されている。
リアルだ・・・っていうか本物?っていいたくなる位リアル・・・・・・
最近の技術は、ホントにスゲェー・・・・尊敬する
「柔道っていうのは面白いもんじゃろう!!」
「そうですね・・・はい・・・」
嘘を言った、最近、なんだか面白くなど感じてはいない
部活なんかかったるくてしょうがない・・・っていうか面倒・・・
「そうか・・・・おっと、自己紹介がまだじゃったな」
オレの気持ちを察してか、少々言葉が曇る。
にしてもスゲェー・・・今、眉が動いた。
最近の着ぐるみって、表情まで変えられるの?
着ぐるみに関してはあまり知らないけど
きっと出来るんだろうなぁ〜・・・
だって、最近の映画って、3Dと実写を合成出来るんでしょ?
そんな事まで出来るんだったら、表情が自由自在に動かせる着ぐるみだって
きっとあるって!!
世界は広い・・こんな田舎に、こんなスゲェー技術持ってるんだぜ?
スゲェーよ地球、地球サイコー、地球LOVE
「わしの名は藤原 龍二(ふじわら りゅうじ)、この村の長を務める、ただのジジィーじゃ」
「あっ、やっぱり爺さんだったんですか。」
「見た通りじゃろ?若く見えたかえ?」
「いや、やっぱり爺さんです」
「面白いヤツじゃ♪」
ご機嫌そうに笑う。
「私は訳が分からない若者に見えますが・・・」
無表情なまま雪華は言う
「そういうな♪こういうヤツもいたほうが良い」
ワハハハと大胆な笑い声で龍二さんと名乗る爺さんは笑う。
おおらかな爺さんだ、こういう人も嫌いじゃない
「ところで、お前さんは一体、あの洞窟で何をしておったのじゃ?」
「私が見かけた時は、全裸で何やらぶつぶつと独り言を言ってました。」
「ただの変態だろ?」
「お前の事だ変態」
「変態じゃない博だ」
「・・・怪しいヤツじゃな・・・」
「怪しいヤツじゃない博だ」
「いいから説明しろ」
「はいはい、オレはあの洞窟に興味本位で色々と調べてただけ
兄貴に聞いた逸話の事を調べるためにな」
「逸話というと、塵兵衛の事か?」
雪華が聞く
「そうそう」
「私はあの話しに感動した」
「そうか?オレは恋愛ドラマとか結構泣けたけど」
「・・・もういい・・・」
「まぁまぁ・・・雪華」
今ので雪華の機嫌を損ねた様子
それをなだめる龍二さん
「とりあえず、お前さんはこれからどうするんじゃ?」
ふとまずい事を思い出した。
いっけね!!学校!!!!
「あっ、爺さん!!悪いけどオレ学校があるから帰る!!!!お茶美味しかったです!!」
オレはバックを持ち、龍二さんの家を勢いよく出て行った。
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