キミと恋愛中
□君の側にいると決めた日
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赤司視点
ー君の側にいると決めた日ー
あれは、大雨の日だった。
葬式の中のしんみりした雰囲気の中で響くのはりまの慟哭。
棺桶に縋り付いて啜り泣くりまに近く寄り声をかける人がいた。
「りま、そろそろ泣き止みなさい」
多分あれは、あいつの祖父だと思う。
「泣きやんだら、お母さん戻ってくるの?」
顔を上げず、そう呟くあいつは何処か気力を無くした様で見ていられなかった。
「…………。さて、お前の今後の事を決めてくるか」
あの人逃げたよ。
りまも大人が困る様な質問するなよ。
「父さん、りまのとこに行ってくる」
りまの側に近寄り肩を叩くが反応しない。
「おい、お前いつまで泣いてんだ」
俺がそういってもなんの反応も示さない。
「おい!この俺の言う事が聞けないのか?」
あいつの耳元でボソッと呟いたら直ぐに泣くのをやめて顔を上げる。
今のこいつからは生気を感じない瞳の焦点があってなく、光がなかった。
こんなりまを見るのは初めてです正直どうすればいいのかわからない。
「征ちゃん、ぼく。…一人になっちゃったよ…!誰もあの家には居ないの!ぼくね。お母さんに酷い事言っちゃたの。だから、これは罰なんだよね…」
両目からまたポロポロと涙の雫が零れ落ちて服にシミをつくる。
こいつは一体何度泣けば気が済むんだろうとか、どうすれば泣きやんでくれるのだろうかとか、色々考えていた。
「りま」
「なぁに?征ちゃん」
面を上げこっちらを見るりま。
その小さな身体を引き寄せて俺はこう言った。
「お前の母さんなら、お前の事怒っていないよ。これは罰何かじゃない。罰だとしても俺が許す」
「ほんと?」
「ああ、だからこれからは俺がお前の側にいるよ(飼い主としてだけどね)」
りまを力一杯抱き締めればこいつも俺の背中に腕を回す。
「うん、私も征ちゃんのそばにいたい」
頭を撫でたら嬉しそうにするこいつが可愛くて、愛しかった。
俺はこうする事で、りまを自分だけのモノにした。
数日後りまは徐々に元気になっていき、あいつは少し変わった。
一人称がぼくらか私に変わったり、人とあまり喋らなくなった。
まだ、他にもあった気がするが俺はそんな事きにもしなかった。
もう少しあいつの変化を気にしていれば良かったなんて今更遅すぎた。