キミと恋愛中

□紫は子供
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話は数週間前に戻る。

久しぶりのモデルの仕事があり学校を休んだ。
最近はずっとアイドル業ばかりやってる気がした。


空が茜色に染まる頃私はようやく仕事が終わり家に帰ろうとしていた所だった。



グゥ〜

外に響く私のお腹の音。

そういえば何日食べてないのだろう。
仕事をする時は事務所がお弁当を出してくれるのだがそれだけじゃ腹は満たされなかった。


まともに食べてないせいもあって近くの公園で休む事にする。


知らぬ間に寝てしまっていて起きたら隣に男にしてはちょっと長いであろう紫色の長髪の巨人がいた。
自分と同じ帝光の制服を着てるから中学生だろう。
にしてはデカすぎだけどな。


サクサクサクサク…



えっ、何この音?
紫色の巨人の方を見上げるとまいう棒を食べていた。
それめちゃくちゃ欲しい!!もう腹が減って動けなかったから食べたい。


「ねぇ、君それ私にもくれ!!」
巨人は声がした方を見るとあからさまにやな顔をして私を見る。


「やだー。あげないし」
持っていたお菓子の袋を私から守るかの様に抱き抱えてる仕草が妙に
かわいい。

そして本日二度目の私のお腹の音が響く。
それを聞いて哀れなんだかの様な目で私を見てくる。

彼はポテチの袋を私に差し出す。

「えっ?くれるの?」
「可哀想だから仕方なくあげる〜」
「わーい、巨人サイコー!!あっ君の名前なんていうの?」
「教える必要あるの〜?」
「あるでしょ!!」
「紫原敦」
「へー、紫原敦くんか。ねぇねぇ、紫原くんもうポテチないの?」
空になったポテチの袋を紫原くんに見せる。

紫原くんは目を見開いて私を見るが直ぐに元の気だるそうな表情に戻った。


「もう、あげないし」
「ケチっ!」
「………………」
「ケチっケチっ!」
「…………………」
「ケチっ!ケチっ!ケチっ!」
「……………………」
「ケチケチケチケチケチケチケチケチケチケチケチケチケチケチケチケチケチケチケチケチケチケチケチケチケチケチケチケチケチケチケチケチケチケチケチケチケチケチケチケチケチケチケチケチっ!まいう棒下さい」
「うざっ」


えっ?今ボソッとうざって言ったよねこいつ?
まあいいや、まいう棒取っちゃお。


ビニール袋から出てた
まいう棒をこっそり抜き取りまいう棒の包みを取り口にいれてかじる。

サクッ

「うまっ!トマトラー油味うまっ!」

「あんたヒネリつぶすよ」

「ご自由にどうぞ」
冗談だと思って油断していた私がバカだったのだ。


軽々しく私を持ち上げ投げ飛ばす。
宙に浮く感覚がリアルで高い所が嫌いな私は目を瞑り地面に落ちるのを待つ。がなかなか地面に落ちる気配がないつかなんかフラフラしてる気がする。

「アララ〜、木に引っかかっちゃったんだね」
呑気にチューブアイスを食べてる彼は他人事の様に私を見る。


「バァカ!てめえ下ろさねえと殴るぞ」
「……アホなの?」

うううううっ、すっごいバカにされてる気分だわ。
つか、高い所怖い。
死にそう、いや、死ねる。


「あのー、降ろしてくれませんか。紫原様」
「考えとくー」
「まいう棒10本あげるから降ろして下さい!」
「いいよっ!」
よっしゃ!エサにくっ付いた。
つかこいつ扱い易いな。
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