君、甘んずる事勿れ。

□第五話
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【君、甘んずる事勿れ。】

 第五話


萩沼:お前が一年の有希だな!神妙にしろ!

有希:・・あ?



有希がふりかえると、うるさいくらいに元気な”次期”生徒会長と書かれた
腕章をした男が立っていた。
その横には、手帳を持った、小柄で、長い髪を二つのおさげに結った
控えめそうな女の子が立っていた。


有希:・・桜、見覚えがあるか?

桜:噂だけ。多分、うちの学校の名物男、”次期”生徒会長さんじゃないかな

萩沼:うおーー!気持ち的には、すでに生徒会長だぜーー!


そう叫び、ぱちんと、指を鳴らして、
小坂井に合図する萩沼。
小坂井うろたえながら、空いてる手の甲で思い切って、萩沼を叩く。



小坂井:・・よし、・・きもちだけかーい!
 ・・・な、なーんて!は、はは!

有希:・・・

桜:・・・・

萩沼:・・・・


小坂井:はっ、はぎぬまさあーん!(泣きそうになりつつ


有希:お、お前もしらけたままなのか。

萩沼:ハッ・・そ、そういうわけだ!よろしくしろー!

桜:(早口めに)はぁ、まぁ、どうでもいいですけど

萩沼:なんだとォーッ!

桜:きもい。暑苦しい。 それでなんのようですか。

萩沼:うおー!
(フェードアウトしていってください)噂には聞いていたが、な、何かとてもマインドがダークに・・

だけどそんなときでもがんばるぜー!!一年A組、桜ァー!



有希:噂になってるのか・・こいつ。

桜:照れるね。

有希;照れるな。


小坂井:そういう情報収集力の高さは
 萩沼さんの秘密兵器です!

桜:へえ。ストーカー力の高さねえ。

萩沼:うおー!決してそんな、犯罪行為は、男萩沼、せんっ!

桜:うるさいなあ。動物園に帰ればいいのに。それで?

萩沼:お、おぉ・・
何だ、この生まれて初めての感覚、恋ッ?!

桜:痛みだよ。

有希:・・さ、桜。もう、いいから続けさせろ。

萩沼:有難い!一年B組、有希!
  小坂井!もってこい!


小坂井:は、はぁい!



小坂井、手帳から三十枚枚程度の写真を取り出し、解説を始める。



小坂井:おととい、昨日、と撮影したものです。


桜:・・これは、西島強化作戦だねえ。

有希:これがどうかしたのか。

萩沼:(有希のマネして)どうかしたのか?
 ではなァァい! これは立派な、男子生徒への、暴行現場であろう!



有希:・・あ?

桜:・・ふうん

小坂井:か、かねんん・・?
  あ、かんねんしなさいっ


有希:観念するもなにも・・

桜:別にそれは、いじめの犯行現場ではないよ。


有希の前にすっと、でる桜。


桜:ちょっと、西島くんの臀部、胸部、手足に怪我を止むを得ずさせてしまったり・・

萩沼:止むを得ずってなんだーー!
  故意にやってるだろー!ハッ!恋?!

小坂井:萩沼さん!引きずらないでくださいっ(焦

萩沼:しかも、臀部、胸部、手足ってほとんどだろー!

小坂井:だろーっ


萩沼:はあ・・はあ・・、小、小坂井?どうしたんだ、小動物のように。

小坂井:え、あ、いえ・・ま、まねっこです。

桜:(はっきり)変な子

小坂井:ぴ

有希:いじめてやるな。桜。

桜:そうだね。
(小坂井をみてこっそり)この、ぶりっこ。

小坂井:(さっきより強く)ぴ!


萩沼:この件については、”現”生徒会長にも筒抜けだ!

有希:・・今の生徒会長が自分ではない事は、自覚済みか・・

桜:僕も生徒会に入ってみようかなっ(嬉しそうに

萩沼:むむぅ・・桜ァ!話を脱線させるな!
そして、それだけはやめて下さい、お願いします・・

桜:・・つまらないやつ。



萩沼:お前ら!観念しやがれ!

小坂井:しやがれです!


びしり、と人差し指をさされ、
どう説明しようか困っていた有希と桜の背後から、
二人を呼ぶ声が聞こえた。



六川:お、お前らッ・・また変な騒動を・・ッ!!


萩沼:おお・・我が永遠のライバル、六川!


六川:”先輩”をつけろって言ってるだろ!

萩沼:(殴られ)っだぁ・・!ちくしょー

桜:・・・あぁ。”現”生徒会長か。

有希:現・・生徒会長、だな。



六川:うわあああ・・洗脳されてる・・すでに・・

萩沼:落ち込むな!六川!

六川:落ち込ませてる、原因はお前だよ・・

小坂井:それで、何ですか?生徒会長。

六川:な、何ですか・・って・・お前・・
”リンチ犯、捕まえてきます(笑”で、出て行かれたら
五秒ていど、頭を整理させてから、おっかけるにきまってるだろうがァァァ



萩沼:さすがは我がライバル!良い感想文だ!

桜:感想文っていうよりは、精一杯のツッコミだよね。

有希:それで、その生徒会長さんは何か言いに来たんじゃあないのか?

六川:あ、ああ・・君達の無罪を証明しに。
 萩沼、小坂井。これを聞け。
西島君が試合前に、一言語ってくれた。
 

さっと、ポケットからボイスレコーダーを出す六川。
そういえば、今日あいつ試合に行っていたんだっけ。と、私は今思い出した。
それを聞くと、顔を赤くする小坂井と、ふきだす萩沼。



小坂井:ぷ、くく・・あはは!!

萩沼:ろっ、・・六川ッ・・お、お前、一人カラオケとか・・行くのかッ
こいつ、録音してんのかァ・・ッ(笑


六川:だァァァ!!ち、ちがうっ それじゃない!その後のファイルだッ


萩沼:・・ふむ。・・”有希はオレの””師匠だ”


小坂井:”勘違いすんな!””手を出したら””ブッ飛ばす”・・まあ



六川:そういうわけだ。帰るぞ、お前ら。
  ・・すまんな。一年、有希、桜。

桜:いえいえ。

有希:お前は何もしていないだろ。

六川;今回はうちの馬鹿が迷惑をかけた。
 俺らに非がある。 ・・だが。




六川は悪どい目つきを有希へ向ける。
有希、桜は一瞬たじろぐ。




六川:・・僕が君を問題児扱いしているという事は覚えておいてくれ。
 生徒会は君らをいつだって”観ている”からな。

有希:・・・・

桜:・・ふうん



六川:行くぞ。萩沼、小坂井。まだ学園祭の話し合いは終わってない。

萩沼:うおー!がくえん・・サァーィ!

小坂井:ぅ、ぅぉー!・・です!


萩沼:今日の所は、失敗したが、今に見てろ!有希!

有希:・・どっからでも、こいよ。

小坂井:さ、さようn

桜:早く行けよ。


小坂井:ぴ




新校舎の中に消え行く三人を確認して、
有希は六川のことを考えた。


有希:桜・・お前、あの六川って奴に身覚えあるか?

桜:・・んー。ああいう、どこにでもいそうな顔、覚えられないんだよね。

有希:そうか。



桜:知ってたとしても、ゆーきには言わないさ。

有希:あ?お前、何か知ってるのか?

桜:だから、知ってたとしても、の話だよ。
 今は、そんな事より、目の前のあれ、でじゃないかな。

有希:”あれ”?



桜が呆れたように笑って指差す先には。



西島:うおおおおおお!!師匠おおおおおお!!

有希:!! にっ、西島ッ!




歓喜の涙でいっぱいになった西島が体育館から出てきた。
有希の下へ走りより、息を切らしながら叫んだ。



西島:やったぜ有希!!お、おれ・・!

桜:(棒読み)わー展開的に大体わかったよー暑苦しいから早く帰りなよー

西島:さ、桜ぁ・・!そりゃないだろお・・



有希は悲しむ西島を元気付けるように、ぽろりとつぶやいた。



有希:西島、なんというかだな。桜の照れ隠しだ。

桜:!?

西島:そ、そーなのかッ!?桜あー、お前も可愛いと

桜:それ以上言ったら僕の知っているありとあらゆる嫌がらせを君にするよ。

有希:そうカリカリするな。

桜:・・。ふん。ゆーきを社交的にさせたのは間違ってた。

有希:? 何だ。はっきりいえ。

桜:なんでもないよ。西島くん、じゃあ、また明日。

西島:お、おう!

桜:また明日、地獄でね。

西島:お・・おう・・・



兄A:おー有希じゃないか
兄B:桜くんも一緒じゃないか

有希:あ、兄さん・・、CとDどうした?

兄C:Cと
兄D:D言うな!

桜:相変わらず四つ子的ネタですね。

兄C:俺ら四つ子ではないんだけどな。

兄D:な。四人きちんと回をわけて生まれてきたんだけどな。


兄A:桜くん、そういや肉じゃが作れるんだっけ?

桜:大抵の和食は作れますよ。

兄B:おお!じゃあ今日の晩飯一緒に作ろうぜ!

有希:何だと!それじゃ、朝から晩までこいつと一緒じゃねえかあああ!!




【第五話 終了】

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