君、甘んずる事勿れ。

□第二話
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【君、甘んずる事勿れ】

 第二話
 
学校。

廊下を歩いていく西島の後を
こっそりついていく二人。



桜:なんか・・結構普通だね

有希:・・丸くなった。

桜:中学校の頃はどんな奴だったの?

有希:手の付けられない、不良だった。

桜:・・へえ。それは、また。

有希:小学校を出たばかりのガキのくせに、
喧嘩のできない奴をターゲットにいじめをしていた。
かつあげとか、パシリとかな。

桜:それがまあ、よく今日まで噂されなかったねえ。

有希:そうだ。・・だから、この話は、少しおかしい。



有希は西島に視線を移した。
西島は盗み見るように三年の教室で
一瞬立ち止まり、また歩いていった。
有希と桜が後からそっと近づこうとした。
その時。


兄A:元不良、

兄B:原因不明の

兄C:心変わり。

兄D:・・これで今日の一面はいただき、だな


有希:にいいいいさああああんんんん!!!!


そこには父兄用のスリッパを履きつつも
彼らの出身校の学ランを来た兄’sがいた。
何か、いい笑顔である。




有希:お前らなああ・・

桜:なるほど。さすがは兄。
ゆーきの驚かせ方も理解していらっしゃるのですね!


兄’s うざいくらいのどや顔。


有希:さああくらあああ!

兄A:はっはっは。

兄B:桜君もまだまだだな!

兄C:おっと・・おいおい

兄D:西島君がいないぞ!

有希:お前らのせいだあああああ!!


ゴッゴッ、と具体的に言えば、鈍器で人の頭を
殴りつけるような音が有希の拳によって作り出されていた。

お仕置きタイムを無視して、桜は、こっそり
西島が立ち止まった三年の教室に目を向けた。
そこで何かに気が付いたように笑んだ。


桜:・・へえ。ああいうのがいいのかあ。

有希:・・いつもより気色悪いがどうした?

兄A:ゆうーきい・・

兄B:お前がたくましくなって・・

兄C:兄さんは嬉しいぞおおお

兄D:まあ、俺のおかげだよな。

兄A:ああ?!サブキャラの癖にうっせーんだよ!

兄B:それは俺らもだろ・・・


勝手に喧嘩になっている兄’s。
そこで、始業のベルがなり、
桜と有希達は教室へと戻った。
有希はもちろん・・・、西島のいる、教室へ。


教室。

兄塚:有希ーいたら挙手ー

有希:(だるそうに)ん・・・

兄塚:えー、今し方、お前の兄が用務員さんに見つかって、兄VS用務員さんで
校内鬼ごっこを繰り広げているらしいのでさっさと捕まえて来てください。

それではテキスト34ページ・・・

有希:にいさああああああんんん!!




そう叫んで椅子から立ち上がった瞬間、
横田が、こっそり有希を呼んだ。




横田:(こっそり)有希さん!

有希:あ?!なんだてめえ!

横田:!!・・あ、あの!僕も付いていきます!

有希:は・・!?

横田:・・・話したい事が、あるんです。

兄塚:そこ、ストロベリるなー

有希:俺はてめえになんか話はねえ。

兄塚:教師を無視するなー

横田:お願いです!(こっそり)西島君のことで・・

兄塚:わーってるって!俺だって、展開くらい読むさ!
横田も一緒にいけ!

有希:うわ、よくわかんねえけど、兄塚ナイス。

兄塚:今度あのバカ兄貴連れてきたらお前ただじゃおかないからな。とっとといってこーい




ざわざわとうるさい教室のドアを開けると
高速で目の前を駆け抜けていく兄がいた。





兄A:いいいいい・・!!!

兄B:ゃあああっほおおおおお!!!

有希:か、覚醒してる・・!


兄C:よおお!有希!

兄D:校内鬼ごっこやろーぜ!

兄A:用務員に捕まったら

兄B:まっさきに通報されるがな!

有希:ごっこじゃねえじゃんか!!


兄C:やっべ!サツだ!

兄D:サツじゃねえって!教員だって!

有希:どっちにしろアウトだ!帰れ!





と、言ったものの、帰るはずがない、と知っている有希。
つまらなくなったら帰るだろう、と、思い
有希は横田と一緒に2階階段の踊り場までいった。




有希:・・西島の事を話せ。手短に、簡潔に。

横田:うあ、えと。その。
・・・・昨日、僕が西島君にいじめられていて、有希さん、助けてくれましたよね。

有希:・・まあ、な。
よくわかんねえ状況だったけどな。

横田:あの時、僕、西島君に
お金をとられそうになっていて・・。
有希さん、西島君と同じ中学校だったから
知ってると思うけど、不良だったんですよね。

有希:・・・・・・何が言いたい。

横田:え、あの・・その・・僕、彼にいじめられてて・・よかったら、助けてくれないかなって・・


有希:・・・・俺は

桜:いいよ。

有希:!!!! さ、桜ッ?!





唐突に、桜の声が階段に響いた。
が、どこを見渡しても彼はいない。
ふ、と仰ぐと階段の手すりから彼が見下ろしていた。
否、”見下していた”。
魔王の浮かべる冷笑とともに。





桜:横田君、辛かったんだよね。
あんなに強そうな西島君にいじめられて。

横田:!・・・は、はい!そうなんです!

有希:・・おい、桜。

桜:黙って。・・・・横田君。
良かったら、僕と有希。それに君で、
西島君と話し合わない?
それで、君の気持ちを西島君に言ってみたらどうかな?
僕らがついてるから、君は絶対に大丈夫だよ。





横田はその言葉に、戸惑いながらも、
満更ではない表情を浮かべ、
考えさせてください、と言った。

横田を先に教室に帰らせ、
有希は桜に詰め寄った。





有希:お前の考えてることがさっぱりわからん。
なぜ、あんな事を言った!


桜:あは。ちょっと、真相がわかっちゃって。

有希:・・どういう事だ。

桜:まあ、それはおいおい話すさ。
それより、君のお兄さん達、さっき用務員さんに捕まってたよ。




兄A:ゆーきい・・・用務員さん

兄B:強すぎだろおぉおお・・




有希:にいさああああああんんん!






【第二話 終了】
お疲れさまでした!


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