†お話し語り†

□檸檬
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人を起こすときには三種類の人間が存在する
普通に起こす者、暴力で起こす者、そして悪戯をして起こす者

俺の前で幸せそうに寝ているこいつを見ていると俺は三番目の人種になるようだ
どう悪戯するかというと………



「ふにゃ!?しみるよー、目がぁ、目がぁー!!」

レモンを目にかけてみる☆

「目がぁ、助けてー」
すごく驚いてそいつは目を覚ます

わざとらしく心配したふりをしつつ聞いてみる
「大丈夫か?」
「ふぇ、悠くん……?」



落ち着きを取り戻したそいつは俺の手中にある物に気づく

「………!悠くん、それなに?」
「これか?これは搾ったあとのレモンだな」
「じゃ な く て………はぁ、悠くんの悪戯もなんとかならないかなぁ……」
溜め息をつく少女、と言っても歳上な訳なんだが

「いや、紗由。今の時間を見てみろよ」
俺は紗由に携帯を渡す
綺麗な黒のストレートロングをかきあげて紗由は不満を垂れる
「まだ9時だよー!むー………え、9時?」
紗由は何かに気づいたかのように凝視する
「そう、9時。とりあえず、初回は無理な訳なんだが」

今日は映画を見に行こうと紗由が誘ってきた訳なんだが、本人がこんな時間に起きるんじゃどうしようもない。
「なんで悠くん起こしてくれなかったの!?信じられない!」
逆ギレしながら支度をする紗由を軽くあしらいながら、俺はキッチンに行く
「俺は8時から起こしたんだが、誰かさんが起きなかったんだろ。んで、こんな忙しいのにもかかわらずレモネードは飲むのかい?」
「飲むよー、作ってもらえるかな?」
「はいはい、作らせていただきます。」

紗由はなぜか毎日欠かさずに自家製レモネードを飲む、Vcが肌にいいんだとか。
「ありがとう、悠くん!・・・・・・うん、今日もレモネードがおいしい!」
「そうだな、これで10時の回に間に合えばなお良かった」
「むー、また嫌み・・・悠くんのばーか。12時の回でいいじゃない」
そうして俺も一緒にレモネードを飲む
うん、冷えてて甘酸っぱい!
俺と紗由はお互い口をすぼめながら用意するのだった
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