プレリュード・裏舞台

□ハークの謎
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「エバン…離して…たくさん出そうだ…」
「ああ…構わないぞ」
エバンが吸い上げるように口を離すと、ハークが透明の液を放つ。
エバンはそれを手で受けたが、やはり水のようだった。
「あ…私…漏らし…もら…」
「違うだろ…これ…」
顔が赤いのか、青いのか、茫然するハークを他所に、エバンはベット近くの小さな植木鉢を見た。
これは、ハークが勝手に置いたカモミールというハーブだが、まだ双葉にしか育っていない。
エバンは何を思ったか、その双葉にハークの出した液を掛けてしまう。
「あっ!なんで掛けたんだ!?」
「…なんとなく…ただの水なら、なんともないだろうし」
「水って……」
ハークは大丈夫かなのかと、カモミールを悲しげな目で覗き込んだが、やがてエバンを振り返る。
「…エバンのと私のは違うのか?私に子供が作れないのは、この所為か?」
「分からんが…まぁ、俺達にはどうでもいい事だ」
「そうかもしれないが、やっぱり全て人と同じではないんだな…」
「ハーク……」
「だって、エバンのはヌメヌメしてた」
「俺のをナメクジみたいに言うなっ!!」
落ち込んでると思ったら、そんな違いを考えていたのか。エバンは思わず叫ぶ。
「それより、今まで出した事なかったのか?」
「ない。エバンはアレをいつでも出せるのか?」
「……出そうと思えばな……」
ハークにはまだまだ性的な事をレクチャーする必要があるが、まるで、何も知らない子供にイケナイ事を教える大人の気分だ。
「そうだ…この間お前の中で出しちまったが、腹は大丈夫だったか?」
「腹?平気だったぞ。それに、中も少し濯いだし…」
ハークは恥ずかしいのか、小さい声で説明をする。
「…ならいいが……」
それを聞いたエバンはホッとする。不可抗力とはいえ、何も知らないハークに中出しした上に、そのまま朝まで意識を手放した事を、後悔というか、情けなくも思っていた。
「なぁ、エバン…エバンも触られたり、舐められたりしたら、気持ちいいか?」
「それは勿論」
「じゃあ、やってやる」
「…いや、それはまた今度で」
その申し出はありがたいが、今はハークの体を愛でてる方が楽しい。
それに、もう少し勉強してくれないと、潰されそうである。
「む…別に潰しはしないのに…」
エバンの心を読んだのか、ハークは不貞腐れたように言うと、スボンを履こうとする。
「あっ!まだ尻触ってない!」
「え?」
結局、尻なのか。ハークは尻と太腿を触られるのが好きではなく、ここがエバンとのネックだった。
「風呂入りに行くから、一緒に入れば…まぁ、触っても…」
「じゃあ、行く」
「………」
本当はエバンもベットに入る前に入ってるはずだから、自分だけでいいのに…。
だけど、今の自分がエバンにできる奉仕はそれくらいしかなさそうだ。
ハークは絶対にいつか、仕返しをすると決意する。
そして次の日、双葉だったカモミールの葉が、摘む事が可能なまでに成長していた事について、エバンは少し怖さを覚えたが、自分に影響はないようなので深く考えるのは止める事にした。


〜ハークの謎〜 了
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