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□あいすくりーむ
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「あっちー!!ただ座ってるだけなのになんでこんなに汗が出るんだよ〜!」
「あはは…、確かにちょっと暑いね。」
夏の訪れを告げる。
ミーン・・ミーン・・・
蝉の鳴き声が何よりの証拠になるだろう。
耳を塞いでも聞こえてくるサイレンにも似た鳴き声は、一度聞くと頭に響いて離れない。
不思議と蝉の声を聞くと暑さが増す気がするのは気のせいだろうか…?
またこの時代の服装は無駄に着込まなければならないため、余計に暑く感じられるのだ。
扇風機なんて便利な機械は勿論ないし、現代と比べれば断然涼しい方なのかもしれないが、どちらにせよ暑いのに変わりはない。
隣にいる平助くんも先ほどから手で顔を扇ぐ仕草を止めない。
着物も少し……はだけている。
それにしても・・・
「エロい……」
「ああ?何か言ったか〜?」
「ううん!!ああー…これだけ暑いとアイスクリームが食べたくなるな!」
「え?…あいす…くりーむってなんだ?」
「あっ…そっか、平助くんはアイスクリーム知らないんだね。そう言われてみればこの時代にはないのかもしれない。」
「ああ…―そうだな。」
平助くんは頭上に疑問符を浮かべながらも、好奇心一杯の視線を向けてくる。
興味を持ってくれたのは嬉しいことなのだが、どう言えば上手く伝わるだろう?
原材料を教えた所でわかる訳がないし、形を言おうにもほとんど原型のないものだし。
う〜ん・・
「アイスクリームって言うのはね・・・冷たくって、甘くって、ふわふわしてて。一口入れただけでスッゴク幸せになれる美味しい食べ物なの!」
「へえー!甘くてふわふわしてて、一口入れただけで幸せになれる食べ物…。お前の世界にはそんなすごい食い物があるのか!?いいな、一度食べてみたいな〜。」
よかった、ちゃんと伝わったみたい。
「いつか平助くんにも食べさせてあげるよ!あのね、アイスクリームにはいろんな味があるんだよ!イチゴに‥チョコレートに…抹茶とか。とにかくたくさんの種類があって、どれを食べようか迷うくらい!」
「うわー早く食いてえな!幸せになれるっていうあいすくりーむをさ。」
「いつか!!…いつか絶対に一緒に食べようね!アイスクリーム!」
「ああ、そうだな。いつか絶対に。いいか、それまで忘れんじゃねえぞ!」
「忘れないよ!平助くんこそ忘れないでよね!」
いつか絶対に…―
あいすくりーむ
(やっぱりエロい…)(??)
あとがき
少しでも涼しく…なるといいな♪(←ならないかι)
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