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□たった今、俺が決めた
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ノート一杯に書かれた文字や数式を眺めること数分。
ここまで粘った私もすごいと思う。自分を褒めてあげたいくらい。
だけど、さすがにもう我慢も限界だ。
無音な室内に響き渡るカチカチという秒針の音にひどく眠気を誘われる。
再び教科書に視線を落とすも、何度見てもちっともわけがわからないし、頭が痛くなってくる。

口から何かが出てきてしまいそう。

ああ…ダメだ。

もう…もう・・・!



「もうダメー!!目がチカチカする、疲れたぁ〜!」



はあっ…と盛大なため息をつきながら机に顔を伏せる。



「まだ20分しか経ってないぜ?お前って本当集中力ないよな?」



カッチーン…!!



「平助だってさっきから携帯ばっかいじってるくせに!人のこと言えんのかごらー!!」



生意気な口を聞くこいつは、同じクラスの幼馴染みである『藤堂平助』というやつ。
私たち二人は四日後に迫った定期テストに向け、放課後に教室に残って勉強をしていた。
しかし、始まってそうそうにして早くもお互いの集中力は切れてしまい、教科書やシャープペンを放り投げては各々好き勝手に遊び出したのだ。

勉強開始から三十分、早くも二人の集中力は完全に切れ、勉強を放棄してしまった。

まあ〜いつものことだし、別に大したことじゃないんだけどね。
今日は頑張ろうって思ってたんだけどなー…
やっぱり嫌いな物を好きになるなんてほぼ100%無理な話だよね。



「俺も休憩っと!!・・・あのさ、お前にちょっと聞きたいことがあんだけどさ。突然変なこと聞くようでなんか言いにくいんだけどよ…。」

「なによ、急に改まって。」



気持ち悪いって、まじで…



「いや、お前ってさ、そのー…いま一人だよな?」

「はあ?」



一人って…

いよいよ頭までおかしくなったか平助。
頭悪いのは前々から知ってたけど、まさかここまでバカだったとは。
驚きを通りこして呆れる勢いだよ全く!



「何言ってんのよ。いまは平助と2人…。」

「そういう意味じゃなくって!だから、その〜……彼氏とか、いんのって聞いてんの?」

「ぶっ!?」



珍しく真剣な顔でなにを言い出すのかと思いきや。
危うく口に放り込んだアメちゃんを飛ばしそうになってしまった。
いきなり変なこと言わないでよね全く!




「なんだよ、笑うなよな!」

「だって平助がいきなり変なこと言うからじゃない!ビックリした、アメちゃん飛ばしそうになっちゃったじゃない!」

「うわっ、汚なっ!ってそうじゃなくって!……でっ、どうなんだよ?」

「どうって!……いっ、いまは・・・フリーだけど?」



ってか、そんなの平助に関係なくない?



「フリーか……ふ〜ん。そっか、お前いまフリーないだ。へえ〜…?」

「なっ、なによ。それがどうしたって言うのよ!どうせ私は一人で悲しい女ですよ!悪い!!」

「別に〜!ふ〜ん、そっか。……あっ、いいこと思いついちゃった!お前さ、今日から俺の彼女になれよ。」

「はあ!?」

「うん!それがいい!」

「なに言ってんの、ちょっとあんたバカじゃないの?全然よくないし!!ってかなに勝手に決めちゃってるのよ!」

「早速今日から一緒に手繋いで帰ろうぜ!」

「って人の話全然聞いてないし!?」

「あっ、ちゃんと恋人繋ぎだからな!」

「なっ!?」



ちょっと展開が早すぎてワケがわからないんですけど!!

彼女って…恋人繋ぎで帰るって…。



「よろしくな!俺の彼女。」

「ちっがーう!!!」



だから人の話を聞けー!!

















たった今、俺が決めた

(勝手すぎるにも程があるだろー!!)










あとがき

ようわからんのはいつものこと!
幼馴染み設定萌えます!!大好きです♪


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