*いろは歌*
□『ほ』
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『ほ』
沖田 (嫉妬甘)
私の彼は嫉妬深く束縛が強い。
友達だろうがなんだろうが気に入らなければすぐに引き離して閉じ込めようとする。
それが決して嫌な訳ではない。
寧ろ嬉しいと思えるくらい。
でも少しくらいは友達とお話したいし、一言も喋るなっていうのは無理な要望だ。
一緒に生活していればどうしても話さなければならない場面だって出てくる。
しかし、彼はそれすら許してくれないのだ。
いきすぎた束縛は留まることを知らず、学年が違うのにも関わらず放課になる度に会いに来る彼には、私も頭を抱えてしまう程。
裏切ればこうなることくらいわかっていたのに、私は油断してしまった。
クラスの男子と話していた所を、後ろからじっと見ていたのも気づかずに…
「やるなって言ったことなんでやるかな?そういうの嫌いって言ったよね?」
「……っっ!?」
誰もいない教室に二人。
壁際に追い込まれ、心のない笑みが私を捕らえる。
こういう時、決して彼に逆らってはならない。
逆らえば倍にして返されるのが目に見えているから。
「なんで何も言わないの?」
「……………。」
「ねえ、何か言いなよ?」
言った所で許すつもりないくせに!
こういう時は黙っておいた方がいいのだ。
3ヶ月付き合ってわかったこと。
付き合い始めはどこにでもいる普通のカップルといった感じだった。
いつからか彼の本性が見え始め、気付けばそのペースに呑まれていた。
つまり彼は……
「だんまりねー……お仕置き決定かな?」
こう見えてかなりのドSなのだ……
「えっ……あの、えっと。」
「なに?なにか言う気になった?でももう遅いよ。許してあげな〜い!」
「いっ言い訳するつもりはない…けど、それはちょっと遠慮したいかなーなんて……ぶへっ!!?」
「もう、黙って?」
ひええええ〜!!
近いっ…近いよ沖田さん!?
くくくくちがふふ触れそう!?
ガシッと顎を掴まれ、顔の横に肘を付けられる。
完全に逃げ道をなくされ、準備万端といった所だ。
もうだめだ……と諦めたその時、唇に触れた温もりが全てを飲み込むように深く覆い被さった。
口を割って侵入してくるそれに抗ってはいけない。
もっとすごいのをされるから。
粘膜質な音が聴覚を刺激し、身体中から力を吸い取られるよう。
立っていられなくなり彼の胸にもたれ掛かると、満足気な笑い声が聞こえてきた。
「はあ…はあっ…はあ……」
「大丈夫?息が上がってるよ。でも君が悪いんだからね。僕が嫌がること、目の前でするから。」
「はあ…だからって……こんなに激しくっ…しなくたっていいじゃないっ!」
未だ呼吸を乱す彼女の腰に腕を回すと、顔を覗き込むように視線を絡められた。
そんなことされて、赤くならずにはいられない。
今の彼に抵抗しても敵わない。
でも、こういう所も含めて彼を好きになったのだから、嫌なわけないのだ。
それを知っててわざとこういうことをしてくるのだから、彼も相当性格が悪い。
耳元に触れる熱い吐息に現実に引き戻されると、甘く怪しく囁かれた。
「ねえ、もう二度と……」
他の誰かと笑わないで
(じゃあもう一回しよっか!いいよね?)(えっ…まだするの!?もう十分でしょ?私もう限界だって!これ以上されたらもう)(問答無用〜!次はもっと激しいのするから、覚悟しておいてよね?)(えええええ〜!!?)
★あとがき★
甘甘な感じで♪
嫉妬なんですけどちょっと可愛い感じで!
書き始めは平助くんか原田さんでやろうかと思っていたんですが、沖田さんだとちょっと可愛いかなーと思って途中で変えたんですよ!
少しでも楽しんでもらえたら嬉しいです★
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